こんにちは、蝉暮せせせです。この記事はすしすきー(旧すしすき〜) Advent Calendar 2021の4日目の記事です。
# 自己紹介
蝉暮せせせという名前で音楽作ったり文章を書いたりしている者です。
FediverseではMisskey.ioとすしすきーをメインの居城としています。
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# 今回の記事の趣旨
すしすきーのAdvent Calendarに参加するにあたり、自分の好きな邦楽ロックと何か絡められないかなーと考えてみたところ、バンド名が魚だったり曲名が魚だったり、魚にまつわる曲について語る記事を書けばいいのではないかと思いついたのでそういう記事を書きます。よろしくお願いします。
最初は寿司関係の曲縛りで考えようと思ったんですが、SUSHI食べたいとスシ食いねェ!しか思いつかなかったので無理でした。
# バンド名が魚
## サカナクション
サカナクションは2007年のメジャーデビューから第一線で活躍し続けている、テクノとロックをかけ合わせた感じの曲を作ってるバンドです。代表曲は「ミュージック」「新宝島」「アルクアラウンド」あたりだと思います。こないだ新曲も出ました。「魚に関係するバンドを挙げてみてください」というアンケートがあったとして一位になるのはこのバンドだと思う。アンケート取ったことないのでわかんないですけど。
詳細はWikipediaにあらかた書いてあるのでそっちを参照してください。
そんなわけでサカナクションで好きな曲3つ挙げて書いてみます。これはランキングではないのであくまで今の気分でピックアップした3曲です。
### 多分、風。
シングル曲でアルバム「834.194」に収録されている曲です。ここ5年ほどのサカナクションのシングル曲では一番よく聴いてる。「忘れられないの」とか「蓮の花」とかも好きですがこれが一番。忙しく曲を埋めるシンセのアルペジオが醸し出してる焦燥感や、サビのメロディの高揚感がとても魅力的だと思います。
情景が浮かぶ歌詞も好き。ほとんどは素朴でわかりやすい表現で占められた歌詞なんですが、その中でちょっと異質な「誰もが忘れる畦道を静かに舐めてく風走り」の一節が輝いてると思う。限られたメロディに載せるために無駄を削ぎ落とし、伝えたい情感を最低限の言葉で表現するという点で俳句的だとすら感じる(音数的には都々逸)。こんなフレーズそうそう出てこない……。
MVもありまして(何故か貼れなかった)かっこいい。おしゃれ。
### スローモーション
シングル「ルーキー」のカップリングです。ちなみに「ルーキー」も大好きな曲です*1。
サカナクションのカップリングではこれが一番好き*2。名曲です。いろんな要素がごちゃまぜで入っている曲でして、80年代エレポップ的な雰囲気あり、エレクトロニカっぽい要素あり、轟音ギターソロあり、合唱パートありと当時のサカナクションの集大成的な曲なんじゃないかと思っている。ぶっ潰れた音で掻き毟るようなギターソロがエモい! そして合唱パートの「だんだん減る だんだん減る だんだん減る未来」のフレーズは物理的な声の圧も相まって圧倒される。
MVもありまして、これがまたサカナクションのMVの中では一番好きです。キッチュでいかにもサブカルって感じのMVなんですけど、サビ前の「ててててん! ててててん!」の音ハメが気持ちいいし、なんか見終わった後は謎の感動がある。
### 開花
1stアルバム「GO TO THE FUTURE」に入っている曲です。このアルバムは全体的に初々しさや朴訥さが漂っていてそれ含めてとても好きなアルバムです。
個人的にこれがサカナクションで一番好きな曲*3。前述の2曲とは違ってあまりシンセが使われていない楽曲で、圧の強い音(ディストーション掛かったギターとかシンセとか)が無いので聴いてて落ち着く。音の隙間が多いので楽器一個一個が耳に入ってくる感じもしますね。
優しげな音色のエレピだったりフォーキーなアコギやペダルスティールっぽさも感じるギターなどなど曲の構成要素全部が好きで、音、メロディ、演奏全部ひっくるめてただただ良い曲だなぁと思う。特に印象的なのが2:06〜の展開! リズムパターンの変化による壮絶な浮遊感。
## フィッシュマンズ
フィッシュマンズは90年代に活動していたレゲエとかダブとかの要素を取り入れた曲を作ってたロックバンドです。レゲエはともかくダブってなんじゃいって感じだと思いますがダブというのはレゲエをいろいろいじくって出来た音楽のことです。「魚に関係するバンドを挙げてみてください」というアンケートがあったとして二位になるのはこのバンドだと思う。アンケート取ったことないので略。
このバンドも詳細はWikipediaにあらかた書いてあるので参照してください。
というわけでフィッシュマンズでも好きな曲3つ挙げて書いてみます。これもランキングではないのであくまで今の気分でピックアップした3曲です。
### SEASON
シングル曲で、オリジナルアルバムには入ってませんがベストアルバムとかで聴けます。後にこの曲のロングバージョンとして「LONG SEASON」という1曲35分のアルバムが出たりしました。どういうこと??
粒立ちの良いアコギと美しい音色のバイオリンが中心に据えられている曲で、素朴ながらもどこか浮世離れしたような超然とした雰囲気がある曲です。「GET ROUND IN THE SEASON」と繰り返し繰り返し歌われる後半のループが気持ちいい。
(以下余談)LONG SEASONはフィッシュマンズの一つの到達点である、というのは踏まえて言うと自分はこっちのシングル版の方が好きです。それはあの世界観がコンパクトな5分間のポップソングに収まっているという事実が好きだから、って言うとかっこいいんですけど実のところはイントロのオルガンのフレーズが大好きでLONG SEASONだとオミットされているからという理由に尽きる。あのオルガンのフレーズが入ってきてバイオリンが立ち上がってくる瞬間は邦楽屈指の美しい瞬間だと思っている。あとLONG SEASONの真価はライブじゃないと分からないんじゃないかと思ってて、ライブを生で一度でも観てれば違うんだろうけど不可能なので……。
### 100ミリちょっとの
シングル曲で2ndアルバム「KING MASTER GEORGE」に収録されている曲です。このアルバムには他にもキャリアに残る名曲「教育」も収録されています。
フィッシュマンズというバンドは一般的に活動後期が評価されていますが、後期になるにつれ一曲一曲が重くなっていく(そりゃ35分の曲作るくらいですし)傾向にあります。もちろんそれらの曲はどれも素晴らしいものばかりなんですが、その壮絶な世界観に息がつまるところもあったりするので(特に「宇宙 日本 世田谷」はかなりエネルギーを使う)、後期の曲を聴いてるとたまに初期〜中期の軽めの曲が恋しくなったりします。
これは初期フィッシュマンズの代表曲の一つで、気が抜けていてゆるいながらも曲の完成度がとても高い素晴らしい曲。サビに相当するパートが2パターンあるという何気に贅沢な曲だったりする。
ドラマ主題歌にもなった曲でして、それも相まって90年代前半という時代の雰囲気を色濃く持っているように思う。人によっては古臭いとも取られる曲かもしれませんが、ノスタルジックな感じが刺さる人は居るはず。
### MELODY
シングル曲で4thアルバム「ORANGE」に別バージョンで収録されている曲です。上に貼ってあるのはシングル版です。
HAKASEさんによるピアノが弾けまくってる超絶ポップな曲。多分フィッシュマンズで一番キャッチーな曲だと思う。聴いていただけると分かる通りとても元気で楽しげな曲*4なんですが、歌詞が不穏。「すぐに終わる幸せさ すぐに終わる喜びさ なんでこんなに悲しいんだろう」とは……。
この曲はシングル版聴いた後にライブ版も聴いてほしい。全然違うじゃねえか……!
このMELODYという曲はシングル版だととてもポップなアレンジを施されている曲なんですが、アルバム「ORANGE」版だと歌詞を体現するかのようになんか不穏な雰囲気に変わっているというバージョン違いがある曲です。このライブ版もアルバム版を下敷きにしており、ちょっとどんよりした感じの雰囲気が漂っています。その雰囲気が好き。もはやピアノの影も形もなくなり、その代わりに線の細いオルガンで空間が埋められることによって醸し出される寂寥感。
(以下余談)まああとこの曲が好きなのは「男達の別れ」のDisc 1の最後がこれだから、っていう思い入れ的な部分もありますね。もちろんこのアルバムの最後の最後には「LONG SEASON」が置かれてるわけですけど、憂いと寂しさに満ちた空気感も相まってこの曲がバンドのエンドロールのような気がしてしまう。
# 曲名が魚
あとは曲名が魚のやつです。
## さかな暮らし / コンテンポラリーな生活
コンテンポラリーな生活はネクライトーキーの曲書いてる朝日廉さんの別バンドです。
まったりミディアムテンポのギターロックな曲。「こっちへおいで」の優しさが沁みます。
## 歌舞いた魚ディスコ / monobright
曲名に魚って付いてるだけでそんなに魚関係ない一曲。
この頃のmonobrightは転調しまくりの奇妙なコード進行でキャッチーなギターロックを作るという離れ業を成し遂げていてすごい。
# エンゼルフィッシュ / the pillows
the pillowsが今よりアウイエではなかった頃の一曲。
美しいメロディにオシャレな演奏というところで今のthe pillowsとは違った良さがある曲だと思います。
# おわり
あとはcali≠gariの「マグロ」「パイロットフィッシュ」、進行方向別通行区分の「海の王者シャチ」「真・海の王者タコ」などが思い浮かんだんですがサブスクになかったので割愛しました。
っていうか「魚」全体はともかく特定の魚をテーマにした曲が全然浮かばなくて困った。ロックバンドはもっと寿司の曲を作れ。
今回出した曲と、今回出してない魚絡みの好きな曲を集めたプレイリストです。サカナクションとフィッシュマンズも今回出してない曲を入れました。
# 宣伝
自分も音楽を作っております。ベスト版的なのがあるので聴いてみていただけるとありがたいです。出来れば今後の活動もcheck it out
# 次回
次回のすしすきーAdvent Calendarは明日のmtiiさんの「狛犬」です。まだまだアドベントカレンダー募集してる(と思う)ので入れて書こうぜ!
*1:「ルーキー」は緊張と緩和を繰り返すシンセ、人力ドラムンベース的なドラム、そしてちょいちょい挟まってくるギターが大変かっこいい曲。「さよならはエモーション」でギターロックと訣別する前の、エモーショナルなギターロックバンドとしてのサカナクションがここに居る……(今もエモーショナルだとは思うけど当時に比べたらロック成分は減少した気がする、と思ってたけど新曲はガッツリロックバンドしてた)
*2:Ame (A)ともどかしい日々も好き……。
*3:2番目に好きなのは「夜の東側」
*4:実はこの曲の楽しい成分はピアノリフが一手に担っており、その証左にピアノが引っ込んだアルバム版は後述の通りかなり不穏な雰囲気に変わっています