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あたまのわるい音楽ブログ

2023年聴いた中で印象に残ったアルバム5つ

今年聴いた中で印象に残ったアルバム5つについて書きます。
この文章はtanoshii.site Advent Calendar 2023の25日目の記事にしようと思っています。

ワーストセレクション / はなとゆめ

「はなとゆめ」というバンド?ユニット?が90年代にいまして、そのベストアルバムです。
殺害塩化ビニールというインディーズレーベルから発売されてましてレーベルをご存じの方はもうあぁ……って感じだと思いますが、殺害塩化ビニールというレーベルは有り体に言うと悪趣味な歌詞を悪趣味な曲に載せて歌いまくる「猛毒」というバンドのフロントマンがやっているレーベルで所属バンドもだいたいそんなのばっかというしょうもないレーベルです。
具体的にはラサイトのフラッシュ「クルムア」で使われていた「はたらくくるま」の原曲を歌っているのが猛毒です。

で「はなとゆめ」の話なんですがカシオトーンのチープな演奏の上でヘボい声の男たちがド下手な合唱で「老婆は立ち上がり叫ぶ「農家をなめるな」すぐに犯された」「ぼくのじじいの押し入れの中まだアメリカ兵の捕虜がいる」などと歌っており非常に最悪なんですが曲が良い
特に「ライスささにしき」と「少年よダッチを抱け」の2曲が良いです。
ライスささにしき」は米の自由化のせいで農村が過疎った挙げ句に村の若い衆が同性愛に走ったり老婆が犯されたりする非常に社会派的な歌ですがメロディが明るくも切なげな感じで素晴らしい。
少年よダッチを抱け」はタイトル通り兄のダッチワイフを勝手に使った少年が罪の意識に苛まれ贖罪するというバラード調の楽曲でメロディも物悲しい。

それにしてもライナーノーツを「便器(毒餌)」という人が書いてるんですがどういう育ち方をしたらそんな名前を名乗ろうと思うのか。

Absent Lovers: Live In Montreal 1984 / King Crimson

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みんな大好き80年代King Crimsonのライブアルバムです。
と言っても僕はKing Crimsonのアルバムを去年まで「Red」しか聴いたことがなかったので全く詳しくないんですけども今年なぜか急に80年代King Crimsonに一時期ハマりまして、「Discipline」から「Three of a Perfect Pair」までのアルバムを一通り聴いたんですが、最終的に80年代の活動をまとめたこのライブアルバムが好きな曲全部入ってるのでこればっかり聴いてました。
80年代King Crimsonについて書きますと、60〜70年代King Crimsonは「21st Century Schizoid Man」に代表されるように曲時間が長くて曲構成も複雑というまさにプログレという感じなんですが80年代King Crimsonは曲時間が短い! だから聴きやすい。あと歌が入っててポップ。なので聴いた。
作風的にはよく言われてるようにミニマルだったりポリリズムっぽかったりする部分があってそこにはニューウェーブの影響を感じます。Talking Headsとかその辺りですね。XTCっぽさを感じたりもした。
スタジオ録音だとその辺特にミニマルな部分が強調されてますが、ライブ音源だとやっぱ演奏のテンションが段違いでライブバンドだなーと思う。
個別の曲では「Sleepless」がめちゃくちゃかっこいい。ベースがベキベキ言っててかっこいい。あと「Frame By Frame」もめちゃくちゃかっこいい。イントロのギターの絡みからもうテンションがぶち上がる。「Thela Hun Ginjeet」も好きです。

The Beatles / The Beatles (再聴)

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今年後半ビートルズが話題になってたのでなんとなくThe Beatles(アルバム)を聴き返しました。あまり音楽をわかってないときに聴いた(今もわかってない)ので聴き返したらなにか違う感想があるかなーと思って。これ初めて聴いたのいつだっけ……10年以内だとは思う。
ビートルズはマジ全然何かを書けるほど聴いてないのであまり変なことを書くのはやめておく。Revolver以降しか聴いてないし。
結論から言うと好きな曲は特に変わりなしでした。新しく「Good Night」ええ曲だなーと思ったくらい?(というかこの曲配置がかわいそうすぎると思う)でも前より全体感を把握できた気がする。
前から好きなのは「Glass Onion」「While My Guitar Gently Weeps」「Healter Skelter」とかその辺ですがやっぱりかっこいい。あと入ってないけど「Revolution」のシングル版はすげえかっこいいなーと再認識した。
でも本当全然古くならないですね。ローファイ感(当時はローファイではなかったわけだが)も合わさって完全に現代のインディーロックと地続きな音楽だと思う。

Soundtracks for the Blind / Swans

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Swansはアメリカのポストパンクバンドです。ポストパンクとはなにかと言いますと暗くて不穏なパンク。Joy Divisionとかですね。SwansはJoy Divisionよりもっと暗くて不穏なパンクです。
去年「Swans Are Dead」を聴いてから謎にSwansにハマってまして、今年頭に「The Great Annihilator」を聴いて「Mind/Body/Light/Sound」かっこいいなーと思ったりした。ただ重い音楽なのであんまり日常的に聴けるものではない。というわけで「Soundtracks for the Blind」はこないだ聴いた。
これRate Your Musicで凄まじい高評価なんですよね。それも込みで聴いたんですけど聴いたあとこれに高評価付けるコミュニティ何??と思った。いや高評価も頷ける凄まじいアルバムだけども。

2枚組2時間半というボリュームがすごいし相応のパワーで殴ってくる音楽。10分超えの曲が4曲、各CDの前半と後半に配置されてまして、その他も5分超えの曲が多く、たまにスキット的な短めの曲が入っているという構成。内容的にもインストや電話音声のサンプリングで構成された曲と通常の楽曲が半々くらいの割合。なのでまず一般的な歌モノのアルバムではなく、その名の通り映画のサントラのような構成です。
しかしどの曲も暗えし怖い!
気持ち悪い逆再生の上に童女の声でひたすら「I, in a sunny day, a beautiful day」とループする「The Beautiful Days」やヤバい宗教的な雰囲気からミュージックコンクレートそして電話のサンプリング音声に移って最終的にノイズになる「Her Mouth Is Filled With Honey」サイレンのような音と耳障りなノイズの遠くで叫び声のような何かが聴こえる「I Love You This Much」を筆頭にすべての曲が不気味で恐ろしい。
歌詞も人食カルトの歌「Yum-Yab Killers」を始めとしてどれも怖い。でも「Yum-Yab Killers」はめちゃくちゃ野蛮でかっこいい曲。
斯様にとんでもないアルバムなんですが、3曲目に置かれた15分というアルバム中最長を誇る「Helpless Child」が本当に素晴らしい。陰鬱なメロディをひたすら垂れ流した後、ストーナーロック的な重たいリフに移行し叩きつけるような演奏を繰り返し続ける楽曲。非常に美しいです。
全体的なアルバムのテーマはなんとなく家族や血縁をテーマにしてるのかな?というぼんやり理解で正直なところわからんのですが、アルバムタイトル「Soundtracks for the Blind」のBlindとはボーカルMichael Giraの父親が白内障を発症し最終的に盲目となったことを指しているらしい。後は日本語の情報が無さすぎるので謎です。Swansは全体的に日本語の情報がなさすぎる。

ニューヨエコ / ヨエコ

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倉橋ヨエコ現ヨエコの活動再開後初のアルバム。倉橋ヨエコは2000年代に活動されていたシンガーソングライターで代表曲はみなさんおなじみ「夜な夜な夜な」等があります。
初アルバムといってもこのアルバムは既存曲のセルフカバーと新曲1曲という構成。ですがそのセルフカバーがどれも素晴らしいです。セルフカバーを原曲が超えることってほとんど無いと思うんですが、このアルバムはどれも原曲を超えてるか別の魅力を新しく与えられていると思います。

まず原曲は謎にポップだった「友達のうた」がお洒落でジャジーな感じにアレンジされてるのが良い。原曲より好きです。それから「夜な夜な夜な」と「卵とじ」のセルフカバーがありましてこちらもジャジーな雰囲気のリアレンジ。
その後の「昼の月」はこのアルバムで唯一原曲の方をあまり聴いてない曲だったんですがこのセルフカバーで良さに気づきました。「かじってみるさ」の連呼かっこい〜〜
で「今日も雨」ですが、原曲が倉橋ヨエコで掛け値なしに一番好きな曲なんですが原曲と別の魅力があってとても味わい深い。流麗で美しいストリングスアレンジに原曲の頃より少し掠れたヨエコさんの歌声が素晴らしいです。マジでストリングスのアレンジがめっちゃくちゃ良い特にラスサビ前あたり。歌詞もメロディも最高だしな……。
新曲「ドーパミン」は往年と全く遜色ないメロディのアダルティで洒脱なジャズポップで、その上にしんどいけど頑張って生きていこうという歌詞が乗っている楽曲。まさにヨエコさんしか作れない曲ですね。そんでもって間髪入れずにラスト「」のピアノ弾き語りを置くのはずるい……。

というわけでヨエコさんが活動再開されたわけなんですけどインタビュー見て思うのは無理しないで活動してほしいな〜という感じです。

以上!